記事公開日:2019/06/01(更新日:2020/08/18)


子宮筋腫と不妊治療

こんにちは。

不妊相談を専門としている、
薬剤師の上田康晴です。

今回は女性の方に多い「子宮筋腫」のお話です。

不妊の原因になっている場合もありますので、しっかり解説していきます!



・目次

1)子宮筋腫とは
2)子宮筋腫の診断方法
3)子宮筋腫の特徴
4)子宮筋腫の治療方法
5)不妊、妊娠中、出産のリスク


この5つを、わかりやすく解説していきます。


記事担当:薬剤師(上田康晴)
・創業70年の薬屋
・くすりの上田(高岡市大仏横)
・不妊相談の専門店
・不妊カウンセリング実績2000組以上


子宮筋腫とは


子宮筋腫とは

子宮筋腫は、子宮筋層内の平滑筋細胞が腫瘍化した「良性腫瘍」です。

その良性腫瘍内には、約40%~50%ほどの染色体異常があるとされています。

子宮筋腫は30代以降の女性の30%~40%に存在します。

意外と多いですよね!


子宮筋腫の診断方法


子宮筋腫の診断方法

子宮筋腫を診断するには
・内診
・超音波検査

で「診断」することができます。


悪性腫瘍が疑われる場合
・MRI検査
をする場合もあります。


子宮筋腫の特徴


子宮筋腫の特徴

主な症状は、「月経過多」と「貧血」。

子宮筋腫が大きい場合は、まわりの臓器を圧迫するため、「頻尿」や「便秘」の原因となる事もあります。


子宮筋腫なりやすい要因としては、

1)初経が早やかった人

2)体重、BMIが高い方

3)母親に子宮筋腫がある
(発生頻度2.5倍に)


子宮筋腫の治療


子宮筋腫の治療

子宮筋腫の治療。

・薬物療法
・手術療法

この2つがあります。



子宮筋腫は「エストロゲン依存性」に発生する病気です。


■他の病気の場合は・・・

通常であれば、エストロゲン依存性の病気は、エストロゲンを抑制もする「黄体ホルモン」でコントロールできる事が多いです。

なので、他のエストロゲン依存性の病気である
・子宮内膜症
・子宮腺筋症
は黄体ホルモンで抑制が期待できます。


■子宮筋腫の場合は

ですが子宮筋腫は、同じエストロゲン依存性の病気ですが、黄体ホルモンで抑制効果がないようで、他の治療法の検討が必要になります。

黄体ホルモンも悪化要因になっているようです。


子宮筋腫の薬物療法


子宮筋腫の薬物療法

エストロゲン依存性の病気なので、エストロゲンを抑えることで、縮小が期待できます。

エストロゲンを抑える薬

・GnRHアゴニスト
・GnRHアンタゴニスト
・ダナゾール
・ジエノゲスト
・アロマターゼ阻害薬



それ以外に痛みがある場合は鎮痛剤。

貧血がある場合は鉄剤も処方されます。


薬物療法により、子宮筋腫の縮小や、症状の緩和は期待できます。

ですが完全治癒は難しいようです。
治療後に再発することが多いです。


ただGnRHアゴニストの1ヶ月の投与でも、30%~80%の縮小が期待できるようで、手術を先送りにしたい場合などには良さそうです。


■注意点は?

エストロゲンのホルモンを「閉経レベル」まで低下させるため、若い方でもホルモンの影響で「骨量が低下」してしまいます。


また投与初期に一過性に不正出血がある場合もあります。
(GnRHアンタゴニストの場合は起こりません)


ただ、これだけ苦労して縮小させても、治療後には子宮筋腫は早い段階で治療前の大きさに戻り、症状も再び出現してくると言われます。


子宮筋腫の手術療法


子宮筋腫の手術療法

再発のない方法は、手術で子宮を「全部」とってしまうこと。

ですが妊娠を考えている方は、妊娠が狙えなくなります。


妊活中の方の場合は、再発リスクがありますが、子宮筋腫のみを取る手術を選びます。


とても有効な手術療法ですが、手術後に不妊治療が半年ほどお休みになります。

そのため「不妊の原因」が子宮筋腫と断定できない場合は、手術を「先送り」にしながら妊娠できるかの経過をみていくことが多いように感じます。


子宮筋腫が及ぼす不妊、妊娠中、出産のリスク


子宮筋腫が及ぼす不妊、妊娠中、出産のリスク

子宮筋腫と不妊


子宮筋腫は着床障害の原因とも考えられています。

それ以外にも精子の「移送障害」なども不安要素となっているようです。

長年の不妊の場合で子宮筋腫がある場合は、病院の先生と今後の治療プランをしっかり話し合うと良いでしょう。

子宮筋腫と妊娠中のリスク

妊娠中の子宮筋腫のリスク

・変性痛
・流早産
・常位胎盤早期剥離
・羊水量が少なくなる
・前置胎盤
・圧迫による水腎症
・圧迫による血栓症

などが懸念されています。



妊娠初期だけ、ホルモンの影響で子宮筋腫が大きくなる傾向があります。
妊娠初期以降は小さくなりますので、ご安心ください。

子宮筋腫と出産のリスク

子宮筋腫と分娩との報告。

・陣痛異常
・産道障害
・胎位異常
・分娩時出血多量

などのリスクがあるようです。

子宮筋腫 まとめ

私は薬剤師ですので、私が治療方針を決める立場ではありません。

このページを参考にしてもらいながら、最終的には診察してもらう先生の意見を最優先してください。


子宮筋腫は多くの女性の方が持っている病状です。

必ずしも治療が必要なわけでなく、
・不快な症状が強い場合
・不妊の原因となっている場合

に対処する病気かもしれません。


子宮筋腫の大きさ、数、発生場所、年齢によって、対応は変わると思います。

検査してくれた先生、治療をお願いしている先生とゆっくり話し合って、今度のプランを検討されると良いと思います。

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薬剤師:上田康晴

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