ホルモン検査でTSHの数値が高い【甲状腺ホルモンと不妊の関係】
記事公開日:2020/03/07(更新日:2020/08/24)

こんにちは。
不妊相談20年!
薬剤師の上田康晴です。
今回は、
・不妊の原因
・流産の原因
の可能性もある
「甲状腺ホルモン」のお話です。
■目次
・TSH(甲状腺刺激ホルモン)の数値とは
・TSHの正常値
・甲状腺ホルモンが少ない(橋本病)
・TSHの数値が高いと、どうなるか?
・TSHの数値が高い時の「治療法」
・甲状腺ホルモンが多い(バセドウ病)
これらを解説していきます。
記事担当:薬剤師(上田康晴)
・病院に1年の勤務経験あり
・「くすりの上田」の代表取締役
・昭和26年創業の薬屋
TSHの数値とは

病院で調べる「TSH」とは、甲状腺刺激ホルモンの略。
甲状腺を刺激して「甲状腺ホルモン」の分泌を促します。
「TSH」は甲状腺ホルモンではなく、ホルモン分泌を促すホルモンです。
甲状腺ホルモンの量を調整するホルモンになります。
このTSHを調べたり、
甲状腺から分泌される
・甲状腺ホルモンT3
・甲状腺ホルモンT4
を調べて、
甲状腺の機能が、正常か調べています。
甲状腺の機能は、
・低下していても
・亢進していても、
不妊や流産のリスク要因になります。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)の正常値

TSHの正常値
0.48~4.50 くらい
妊娠を希望される場合は、2.5以下がオススメです。
■甲状腺ホルモンが少ない
このTSHが高く、T3(甲状腺ホルモン)、T4(甲状腺ホルモン)が低いのが、橋本病(甲状腺機能低下症)です。
甲状腺ホルモンが少ないため、甲状腺を刺激するホルモンが高くなります。
■甲状腺ホルモンが多い
TSHが低く、T3(甲状腺ホルモン)、T4(甲状腺ホルモン)が高いのが、バセドウ病(甲状腺ホルモン亢進症)です。
甲状腺ホルモンが多い状態なので、ホルモン分泌を促すTSHの数値は低くなります。
甲状腺ホルモンが少ない(橋本病)

橋本病の検査数値。
・TSHが高い
・甲状腺ホルモンは少ない
TSHのホルモン数値が高いという事は、甲状腺ホルモンが「不足」している状態です。
TSH異常に高いと橋本病であり、妊娠を希望する場合は「2.5以下くらい」が望ましいと言われます。
橋本病だからといって、
必ず不妊の「原因」に
なるわけではありません。
ですが子供を意識して、なかなか授からない時に、TSHの数値が高いとわかった場合は、甲状腺ホルモンの治療を試してみるといいでしょう。
甲状腺異常は、
流産、早産のリスクを
高めると報告されて
いるようです。
不妊の原因が、単純に橋本病であれば、甲状腺ホルモンを補えば妊娠はできるはずです。
しかし甲状腺の補いをしても、まだ妊娠できない場合は、それ以外の要素が考えられます。
年齢、卵子の質、子宮内膜の状態、他のホルモン数値、精子の状態など。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)の数値が高いと、どうなるか?

甲状腺ホルモンが
低下すると
出やすい症状。
(橋本病)
・生理の間隔が短くなる
・生理の出血量が多くなる
・月経に異常が起こる
・流産のリスクがある
・むくみ
・汗が少なくなる
・寒がり
・体重増加
・脈が遅くなる
・無気力
・筋力の低下や肩こり
健康な妊婦さんでも、流産のリスクは10~15%程度あります。
ですが「甲状腺ホルモン」が不足したまま妊娠すると、流産の確率はこれより高いと言われます。
なので、甲状腺ホルモンを検査して異常があった場合は、妊娠を希望する場合は、治療を行われたりします。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)の数値が高い時の「治療法」

甲状腺ホルモンが低い方に使われる薬。
・チラーヂンS
チラーヂンSは「甲状腺ホルモン剤」で、甲状腺ホルモンを補います。
甲状腺ホルモンが低い方でも、甲状腺ホルモンの内服薬(チラーヂンS)を服用する事によって、甲状腺ホルモンが正常になれば、甲状腺が関与すつ流産は起こらなくなります。
甲状腺ホルモンが関与しない流産のリスクは、健康人と同様10~15%程度はあります。
甲状腺ホルモン(チラーヂンS)は、甲状腺で作られているホルモンと同じですので、胎児への影響はないと考えられているようです。
ご安心くださいませ。
甲状腺機能低下症の方が「妊娠」できた場合は、妊娠中も「内服薬(チラーヂンSなど)」は続けます。
また産後や授乳中に服用していても、授乳に影響はないとされています。
甲状腺ホルモンが多い(バセドウ病)

バセドウ病では、自己抗体が「甲状腺」を刺激することにより、甲状腺ホルモンを過剰に産生します。
バセドウ病の検査数値の特徴。
・TSHは低い
・甲状腺ホルモンは高い。
TSH(甲状腺を出そうとするホルモン)が低いということは、体に「甲状腺ホルモン」が多い状態を意味します。
甲状腺ホルモンが多いと
出やすい症状
(バセドウ病)
・甲状腺腫
・眼球突出
・頻脈
・多汗
・暑がり
・体重減少
・手足のふるえ
・倦怠感
・イライラ
甲状腺ホルモンが多い場合は「メルカゾール」という薬で治療します。
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